Chris Kit Mark8 修理記録
同時修理 P-35III. 3台目       2023/11/23到着    2024/1/27完成 
A. 修理前の状況
  • メーカーが受けない機種のアンプ修理に誠意をもって取り組んでおられることが伝わってきます。
    御工房なら自分のアンプの不調にも対応してもらえるかもしれないと思い連絡いたしました。
    1997年製クリスキットMark8とP35Vです。
    症状。
    • 電源投入後、1時間から2時間経過すると右スピーカーから「バリバリ」「ブーン」とかいう大きな音が出ます。
      一定時間経過すれば必ず出るとは限らないのが説明に苦しいところです。
      「バリバリ」「ザラザラ」音は入力セレクターの位置、左右バランス、ボリュームの位置によって変化しませんが、「ブーン」という音が出ているときはボリュームを回すと音量が変化します。
      パワーアンプの電源をいったん切って、再度電源を入れるとノイズは出たままです。
      パワーアンプの電源は入れたままでプリアンプの電源をいったん切り、再度プリアンプの電源を入れるとノイズは消えています。そのままレコード等を再生して聞くことができます。
      また、別の日にプリアンプとパワーアンプの接続コードを左右入れ替えて接続していた場合は、ノイズは左のスピーカーから出ました。
      素人考えではプリアンプに原因があるのかと想像します。
      このアンプは3歳からピアノを習っていた娘が小学校に入学したときに購入した物で20年以上経過していますが、修理できるのであればこれからもレコードを聴くために使いたいと思っています。
      自分としてはプリアンプとパワーアンプの両方をオーバーホール修理してもらえればと考えています。


B. 原因
  • 各部経年劣化、ハンダ不良。

C. 修理状況
  • 配線点検、ハンダ補正。
    全電解コンデンサー交換。
    一部劣化TR(トランジスター)交換。
    一部フイルムコンデンサー4個交換・追加
    一部セラミックコンデンサー交換・追加。
    半固定VR交換。
    入出力RCA端子交換


D. 交換部品
  • 電解コンデンサー       29個。
    半固定VR           10個。
    抵抗              2個。
    フイルムコンデンサー    6個。
    セラミックコンデンサー   9個。
    テフロン絶縁RCA端子 8組16個。
    TR(トランジスター)     5個。


E. 調整・測定

F. 上位測定器による 調整・測定

G. 修理費
      96,000円。   オーバーホール修理。

Y. ユーザー宅の設置状況

S. Chris Kit Mark8D の仕様(マニアル・カタログより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 点検中 前から見る
A12. 点検中 前右から見る
A13. 点検中 後から見る。
A14. 点検中 後左から見る
A15. 点検中 上から見る
A16. 点検中 上蓋を取り、上から見る
A21. 点検中 下前から見る
A22. 点検中 下前左から見る
A23. 点検中 下後から見る
A24. 点検中 下後右から見る
A25. 点検中 下から見る。
A26. 点検中 下蓋を取り、下から見る
A31. 点検中 後から見る。入出力RCA端子。
A32. 点検中 後から見る。入出力RCA端子。テフロン絶縁製に交換可能。
A33. 点検中 交換するテフロン絶縁製RCA端子。 中心電極は円筒状で4つ割方式。
A34. 点検中 WBT製RCA端子 WBT−0201。 さらに複雑な構造で「カチ」と差し込み感を与える。
A35. 点検中 最近の「RCAプラグ」の中心電極は2割になっているので接触不良が起きにくい。
C. 修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C11. 修理前 右AMP基板
C12. 修理後 右AMP基板 電解コンデンサー6個、半固定VR1個交換。
C13. 修理前 右AMP基板裏
C14. 修理(半田補正)後 右AMP基板裏  全ての半田をやり修す。フイルムコンデンサー1個、セラミックコンデンサー1個追加。
C15. 完成左AMP裏  洗浄後+コーテング材を塗る。
C21. 修理前 左AMP基板
C22. 修理後 左AMP基板 電解コンデンサー6個、半固定VR1個、TR(トランジスター)4個交換。
C23. 修理前 左AMP基板裏
C24. 修理(半田補正)後 左AMP基板裏  全ての半田をやり修す。フイルムコンデンサー1個、セラミックコンデンサー1個追加。
C25. 完成左AMP裏  洗浄後+コーテング材を塗る。
C31. 修理前 右EQ−AMP基板
C32. 修理後 右EQ−AMP基板 電解コンデンサー6個、TR(トランジスター)1個交換。
C33. 修理前 右EQ−AMP基板裏
C34. 修理(半田補正)後 右EQ−AMP基板裏  全ての半田をやり修す。フイルムコンデンサー2個、セラミックコンデンサー1個追加。
C35. 完成左EQ−AMP裏  洗浄後+コーテング材を塗る。
C41. 修理前 左EQ−AMP基板
C42. 修理後 左EQ−AMP基板 電解コンデンサー6個交換。
C43. 修理前 左EQ−AMP基板裏
C44. 修理(半田補正)後 左EQ−AMP基板裏  全ての半田をやり修す。フイルムコンデンサー2個、セラミックコンデンサー1個追加。
C45. 完成左EQ−AMP裏  洗浄後+コーテング材を塗る。
C51. 修理前 右レベル調整基板
C52. 修理後 右レベル調整基板 半固定VR4個交換。
C53. 修理前 右レベル調整基板裏
C54. 修理(半田補正)後 右レベル調整基板裏  全ての半田をやり修す。
C55. 完成左レベル調整裏  洗浄後+コーテング材を塗る。
C61. 修理前 左レベル調整基板
C62. 修理後 左レベル調整基板 半固定VR4個交換。
C63. 修理前 左レベル調整基板裏
C64. 修理(半田補正)後 左レベル調整基板裏  全ての半田をやり修す。
C65. 完成左レベル調整裏  洗浄後+コーテング材を塗る。
C71. 修理前 電源基板。
C72. 修理後 電源基板。電解コンデンサー5個交換。
C73. 修理前 電源基板裏。
C74. 修理(半田補正)後 電源基板裏  全ての半田をやり修す。セラミックコンデンサー5個追加。
C75. 完成左電源基板裏  洗浄後+コーテング材を塗る。
C81. 修理前 入出力RCA端子。
C82. 修理(交換)後 入出力RCA端子。
C83. 修理前 入出力RCA端子裏配線。
C84. 修理(交換)後 入出力RCA端子裏配線。
C91. 修理前 メインVR、バランスVR。
C92. 修理 メインVR、バランスVR。抵抗2本追加。
CA1. 修理前 入力SW。
CA2. 修理後 入力SW。
CB1. 交換部品
CC1. 修理前 上から。
CC2. 修理後 上から。
CC3. 修理前 下から。
CC4. 修理後 下から。
CC5. 完成後から見る。
CC6. 完成後から見る。
E. 調整・測定。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E0. 出力・歪み率測定・調整。
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
      表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
      表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E11. AUX_50Hz入力、R側出力電圧=2V、 0.00781%歪み。
                 L側出力電圧=2V、 0.00828%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E12. AUX_100Hz入力、R側出力電圧=2V、 0.00734%歪み。
                   L側出力電圧=2V、 0.00791%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E13. AUX_500Hz入力、R側出力電圧=2V、 0.00780%歪み。
                   L側出力電圧=2V、 0.00858%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E14. AUX_1kHz入力、R側出力電圧=2V、 0.00878%歪み。
                 L側出力電圧=2V、 0.00836%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E15. AUX_5kHz入力、R側出力電圧=2V、 0.00569%歪み。
                L側出力電圧=2V、 0.00592%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E16. AUX_10kHz入力、R側出力電圧=2V、 0.0195%歪み。
                  L側出力電圧=2V、 0.0196%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E17. AUX_50kHz入力、R側出力電圧=2V、 0.00781%歪み。
                  L側出力電圧=2V、 0.00828%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=125kHz、右=500kHz。
E21. MM_50Hz入力、 R側出力電圧=2V、 0.0288%歪み。
                 L側出力電圧=2V、 0.0248%歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. MM_100Hz入力、R側出力電圧=2V、 0.0194%歪み。
                  L側出力電圧=2V、 0.0271%歪み。
                   「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E23. MM_500Hz入力、R側出力電圧=2V、 0.0159%歪み。
                  L側出力電圧=2V、 0.0152%歪み。
                   「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. MM_1kHz入力、R側出力電圧=2V、 0.01528%歪み。
                 L側出力電圧=2V、 0.0273%歪み。
                      「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. MM_5kHz入力、R側出力電圧=2V、 0.0251%歪み。
                 L側出力電圧=2V、 0.0293%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E26. MM_10kHz入力、R側出力電圧=2V、 0.01136%歪み。
                 L側出力電圧=2V、 0.0167%歪み。
                   「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. MM_20kHz入力、R側出力電圧=2V、 0.0312%歪み。
                  L側出力電圧=2V、 0.0311%歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=125kHz、右=500kHz。
F. 上位測定器による 調整・測定。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
F0. 下のオーディオアナライザーVP−7732Aで自動測定
F1. 入出力特性測定(AUX入力)
        AUX入力端子へ150mV一定入力 VRはmax。
        平均で1V出力   左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F2. 歪み率特性測定(AUX入力)
        AUX入力端子へ150mV一定入力 VRはmax。
        左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F3. 入出力特性測定(AUX入力) LowBoost ON
        AUX入力端子へ150mV一定入力 VRはmax。 左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F4. 入出力特性測定(MM入力)
      MM入力 入力電圧=2mV一定入力 VRはmax   左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
Y. ユーザー宅の設置状況
S. Chris Kit Mark8D/Mark8 の仕様(マニアル・カタログより)
型式 コントロールアンプ Mark8D/Mark8
入力 CD Player, Tuner, Tape1, Tape2, Aux/Mark8はMM+
周波数特性 20Hz〜20kHz
残留ノイズ 測定不能
外形寸法 幅380×高さ110×奥行325mm
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 約6W
価格パーツセット \56,800、側板を含まない。
                mark8-28
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